科学研究費補助金の研究成果概要の公開
※全ての研究計画は完了しています。国庫の貴重な財源を活用させていただきありがとうございました。(2017.12)

平成26〜28年度科学研究費研究助成(日本学術振興会)
基盤研究(C)-26350349
「幼児・児童用避難行動パターン学習シミュレーターの開発と多様な避難誘導可能性の検討」
研究代表者:森田健宏(関西外国語大学英語キャリア学部・教授)
分担研究者:川瀬基寛(十文字女子大学生活科学部・准教授)       角野茂樹(関西外国語大学英語キャリア学部・教授)
      松河秀哉(東北大学・高度教養教育・学生支援機構・講師)
連携研究者:堀田博史(園田学園女子大学人間健康学部・教授)
      笠井正隆(関西外国語大学短期大学部・准教授)

 
【研究の目的】
本研究の目的は、近年、幼児・児童が個の状況に応じた避難行動の判断が可能となるなど「自らの命を守るための教育」が具体的かつ積極的に実施できるようシミュレーション教材を開発し、幼稚園や小学校で容易に導入できるよう検討することである。ただし、本研究が対象としている幼稚園児〜小学校低学年児については、発達上の特性から次の点が課題となる。1.知識や情意等、様々な発達を考慮し、防災教材について「現実的臨場感のある実効性が高い内容」と「衝撃性のある内容の抽象化による精神的な負担への配慮」の両面的な配慮が必要である。2.幼児期〜児童期の知的発達の特徴を考慮し、教材が単に知識の獲得で完結せず、「防災行動力」を育むべく具体的な行動に結びつきやすい仕掛けが必要になる。そこで、シミュレーション教材についても内容だけでなく、適切性や効果検証を十分に行う必要がある。そこで、以下の観点から調査、教材開発、実践研究を行った。
【研究1】全国の防災教育施設における各種体験型教材と幼児・児童の理解適性についての検討

 本研究の最終的な目標は、幼児・児童の認知的あるいは情意的適性をふまえ、在校する学校の環境にカスタマイズされた避難訓練シミュレーション教材を開発し、これによる防災行動力の育成をめざすことである。そこで、まず、全国の防災教育施設における各種体験型教材を調査し、低年齢児への適性の評価を行った。
【研究の成果】
評価の観点として、(1) 学習内容の容易性、(2)臨場感・没入感、(3)精神的な影響可能性、(4)防災行動への移行性、(5)認知発達の適切性、という5つの観点から調査を行い、複数の研究者の記述評価を照会しながら評価内容をまとめた。
・この成果は、「教職実践研究集録(関西外国語大学教職教育センターの紀要)」第10巻、pp.1-10.に採録されている。


【研究2】避難訓練シミュレーターによる指示情報の適切性に関する検討

避難訓練シミュレーターの開発にあたり、過年度の研究において指示情報の適切性について検討を重ねてきている。そこで、1つの可能性としてAR(Augmented Reality)による指示情報により、低年齢児でも移動可能かを試行し、新たな避難訓練のあり方に資するかを検討した。

【研究の成果】
・AR開発ソフト「Metaio Creator ver.3.3(Metaio社製)」を利用して、関西外国語大学の館内において、幼稚園5歳児4名、および小学校1年生3姪を対象にスマートフォンを所持してもらい、マーカーを頼りに移動する様子を行動観察法により検討した。その結果、経路指示方向のうち、逆行(Uターン)指示についてのみ、判断と行動が誤認されたり、遅延する行動が確認された。なお、移動方向(矢印)の段階的アニメーション化による理解しやすいさは、過年度の研究と同様、被験者からのインタビューにより確認された。
・この成果については、日本教育メディア学会第21回大会にて研究発表している。(右欄参照)

【研究3】小学校低学年児が自主的な避難行動を学習するための教材開発と 実践利用及びその効果についての検討

上記の成果をもとに、調査対象校用にカスタマイズされた避難行動シミュレーターをe-Learningソフトウェア(Lecture Maker ver.2(Dauisoft 社製))で作成し、これを小学校2年生に試用してもらい、その後に予定されている実際の避難訓練においてどのような影響があるかを検討した。

【研究の成果】
その結果、上位学年よりも防災行動(ダンゴムシのポーズ)が迅速に可能となり、また、トイレや階段付近の危険回避行動も適切に行われ、さらに、高学年でさえ見られたエラー行動も2年生では発生しなかった。これは、前年度までの全校集会における講義型の避難指導よりも適切な行動が顕著に見られたことが、教職員への事後アンケートにより確認された。今後、他学年でも利用したいという、校長の回答をいただけた。
・この成果について、日本教育工学会論文誌に投稿したが、データ不十分等の理由により「返戻」となった。しかし、調査対象校の高評価があり、内容の充実と精度を高めていくことによって、有意義なものになり得ることを確信している。よって、「教職実践研究集録(関西外国語大学教職教育センターの紀要)」第11巻に経過報告として投稿している。

【その他 発展的または試行的研究】

上記の研究成果を発展させることを期して、さらに、調査研究や試行的研究を行っている。
(1)低年齢児へのメディア情報による教育効果についての海外での研究知見の調査研究
(2)メディア情報への注視による認知的負荷に対する生理反応による評価可能性の検討

研究成果の公開状況

・日本教育メディア学会
     [2014.10.12

   (於:金沢星陵大学)

「ARによる指示情報を用いた避難経路誘導における 標識のデザインと利用可能性の検討」          
・日本教育メディア学会
     [2014.10.12

   (於:金沢星陵大学)
[幼児の安全教育に資するメディア教材の活用可能性」
    

・日本保育学会
    [2015.5.13]
  (於:椙山女学園大学)

「幼稚園における今後の防災教育とその教材のあり方についての検討」

    
「教職英語研究・実践集録」
(関西外国語大学教職教育センター紀要)(2015)

「小学校におけるこれからの避難行動のあり方と教育方法についての検討」


「教職英語研究・実践集録」
(関西外国語大学教職教育センター紀要)(2016)

「学校生活における「防災行動力」育成のための防災体験施設の活用可能性」


「教職英語研究・実践集録」
(関西外国語大学教職教育センター紀要)(2017)

「小学校低学年児が自主的な避難行動を学習するための教材開発と 実践利用及びその効果についての検討」



・研究の取組が完了した課題
・現在取組中の課題

研究成果報告書(KAKENデータベース)へのリンク
 

関連データ等

★適時更新を進めます。

 

 
  copyrights (C) 2017 Takehiro MORITA. All rights reserved.